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クリエイティブ・ユニットLENZのblogです。
LENZ
【『いだてん』噺/視聴率のことなど】(高階記)
2019年 05月 17日 (金) 09:13 | 編集
『いだてん』が面白い。すこぶる面白い。ストックホルムの大敗以降、毎週いい。揺さぶられっぱなしだ。朝太(森山未來)の『文七元結』よかった。そして池部幾江(大竹しのぶ)が滅法いい。めっちゃパンクでかっこ良くて笑わせてくれる。金栗実次(中村獅童)の受けがまたいい。
 
ところが『いだてん』の視聴率は空前の低空飛行が続いているらしい。このあたりで視聴率に関して考えていることを書きつけることにする。こうなったらいっそ空前絶後のワースト記録更新めざして(外野の声など気にせず)ぶれずに撮り切ってほしい。
 
正直、2019年にクドカンを使ってオリンピックネタをやると聞いた時はかなり嫌な気分だった。でも、初回から観続けてきて、ここに来てどんどん面白くなっていて「ここまでやってくれるなら、わかりました。最後まで一緒に完走しましょう!」という気分になっている。
 
それだけに路線変更とか回数を減らすとかそういうのはナシで頑張って欲しいと切望する。
 
   *
 
視聴率が低い最大の理由は「主人公をはじめ、主要登場人物のことをほとんど誰も知らない」ということに尽きると思う。
 
戦国時代なら戦国時代、幕末なら幕末で、歴史上の(もしくは歴史小説上の)人物の名前をドラマが始まる前からみんなたくさん知っている。そうなると俳優の名前ではなく「斎藤道三も出るし織田信長も出るし豊臣秀吉も出るし徳川家康も出るし今川も上杉も武田も浅井も朝倉も柴田も明智も半蔵も幸村も弾正も半兵衛も官兵衛もみんな出るし!」みたいな意味でオールスターになるわけだ。
 
対するに『いだてん』は金栗四三と嘉納治五郎がかろうじてやや有名人といえなくもないが(でも悪いけど陸上・柔道関係者や五輪マニア以外は誰も知らなかったと思う)、その他はほぼ全滅と言っていいくらい誰にも知られていないだろう。5代目・古今亭志ん生は一世を風靡した大看板だが、落語ファンと同時代の人以外はピンとこないだろう。
 
大河ドラマを見てきた人はかなりマニアックな主人公であっても、少なくとも脇を固める形で「有名人」が次々に顔を出す感じに慣れきっているはずだ。そう考えると、出てくる奴出てくる奴誰も知らないというのは求めているものと乖離してしまう。なので、大河ドラマの固定ファンから離れていったのは当然と言えば当然なのである。
 
これは『あまちゃん』の時に固定ファンが逃げ出したのにも似ている。けれど『あまちゃん』では従来連続テレビ小説を見る習慣がなかった人が大興奮して参入したのに対して、『いだてん』ではそういう新しい視聴者は開拓し損ねている。たぶん「とびとびでも面白い15分番組をちょいちょい観る」というフットワークの軽さと、「日曜日の夜に1時間番組を1年間観る」という重厚長大感の差で、新しい視聴者が二の足を踏んだのだろう。気持ちはわかる。ぼくもほとんどの大河は数回で挫折するから。
 
とまあ、視聴率についてはもうつべこべ言っても仕方がないと思う。ただ、クドカンもユニークな演出陣も、そして水を得た魚のように存分に暴れまわる役者陣もいい仕事をしている。話の展開も第二部にさしかかりつつあるので、あと半年観ようかなという人が参加するにはいいタイミングだ。この辺で一緒に『いだてん』噺ができる人が増えてくれれば、ぼくも嬉しい。
【ぼくの、おしいれのぼうけん】20150902(高階記)
2015年 09月 10日 (木) 19:12 | 編集

8/29(土)、若き盟友・司田 由幸が実質的にプロデュースした荒川区の舞台「おしいれのぼうけん」を観に行って、舞台そのものが良かったのはもちろんのこと、いろいろな可能性を感じて直後に呟いたツイートのTogetterが、気づけば900view。ありがたいことです。
 
ぼくはね、overture(序曲)の演奏に続いて最初の少年が「わあっ」と飛び出してきたところで涙が出ました。続く保育園の子どもたちの弾ける暴れっぷりを描いた祝祭的なシーンには1年前の司田作品『おこめ』のエンディングを重ねずにはいられず、「ああ、これは『おこめ』の先に続くものがたりなんだな」と開演3分ぐらいで勝手に盛り上がってしまいました。
 
名作絵本として知られる『おしいれのぼうけん』のストーリーも楽しく、それを舞台化した脚本もよく、さらにはその視覚化のギミック、演劇的処理がアイデア豊富で、子どもたちも生き生きと動き回り声を張り上げ、複雑なきっかけを事もなげにやってのけ、サポートする大人の俳優陣が共演する子どもたちに舞台に立つ事を身を以て示し、あるいは美しく動き、あるいは空間を支配する。そしてこれまた聴きどころも見どころも満載の演奏。
 
目の前で上演されるものがたりの中のぼうけん、この子どもたちがこの夏に経験したとてつもなく大きなぼうけん、そしてきっといつかこの子どもたちと同じように『おしいれのぼうけん』に関わるであろう未来の荒川区の、あるいは別な場所のこどもたちのぼうけん、それやこれやをしかけた司田由幸が始めたぼうけん、ぼくはそのぼうけんにどう関われるだろうか、いろいろなことに思いを馳せながら1時間、ぼくなりのぼうけんを味わったのでした。
 
今後、全国の学校や市区町村で何度も再演されることになりそうな学校演劇の(学校演劇の枠を超えた)傑作の誕生です。司田君改めてお疲れ様でした。そして新たな代表作の誕生、おめでとうございます。
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