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愉快な革命(仮)で広告も変わる(高階)
2010年 10月 11日 (月) 10:24 | 編集
ついさきほど『メディア・バイアス』(松永和紀/光文社新書)という本を読み終えた。この本、副題には「あやしい健康情報とニセ科学」とある。書評ではないので、詳しくはAmazonの紹介やレビューなどを参照していただきたいが、かいつまんで言うと、数年前世間を騒がせた「発掘! あるある大事典II」の「納豆がダイエットによい」のデータ捏造に象徴されるような、「科学のフリをしたトンデモ情報」がどうして広まるのか、どう見分けたらいいのかといったことを豊富な実例で紹介している。

環境ホルモン騒動、フードファディズム、添加物バッシング、自然志向、「昔はよかった」論、マイナスイオン、遺伝子組み換え問題、バイオ燃料、トランス脂肪酸など、どれも根拠のよくわからない主張が展開され、あやうい思い込みから、利益誘導を狙った完全なニセ科学・捏造レベルまで、いろんなレベルで引き起こした騒動を分析する好著だ。

問題は広告の仕事をしていると、「あやしい健康情報とニセ科学」に加担する可能性が非常に大きいということだ。ひょっとすると「あるある」どころではなく、そういうトンデモ情報を撒き散らす危険性が高い。マイナスイオンにしても、オーガニックや無農薬にしても、広告を通じてバズワード的に展開されたことは間違いない。

これは広告の仕事の構造的な問題にも関わってくる。広告の制作者はジャーナリストではない。クライアントがユーザーや取引先に届けたいメッセージを効果的に届けて、クライアントが望む反応を引き出すために、コミュニケーションのテクニックを提供するのが仕事だ。だからよほどおかしなことを言っているのでない限り、クライアントのメッセージの中身を検証するようなことはない。それはクライアント自身の責任において発信するべきものだからだ。

ましてやクライアントが出したデータの真偽をいちいち疑ってかかって検証することなどまずありえない。もしここで検証不能なインチキデータを提示されたらそれをそのまま使うことになる。見ただけでわかるようなインチキなものなら「これでは相手を説得できませんよ」という理由で差し戻すことはできるけれど、一見それらしくなっていたらもうお手上げだ。メディア側の考査もくぐり抜けたらそれは世に流出することになる。

これが基本構造だ。広告制作者が無責任でいいと言うことではない。けれども「依頼されたクライアントのメッセージをより一層伝わりやすくして届ける」のが広告であり、限られたスケジュールで広告を打つためには現実問題としてその内容の真偽を検証できる機会はほとんどない。

でも、もしその内容が害悪をもたらすものだったり、不当に誰かに損害を与えるものだったりするのなら、そんなものに加担するのはゴメンだ。時間のたっぷりある仕事なら関連図書を幅広く読みあさってこっちの見識を高めることもできる。しかし、多くの仕事において、そういうチャンスはまずない。

さて、このあたりから「広告はこれからどうなればいいのか」「広告制作者はどう働けばいいのか」という話に切り替わる。「愉快な革命(仮)」は、ぼく個人の働き方も変えていくことになる。自分だけ変わらずにいようったってそうはいかない。あるいは本当は「広告」なんてくくりを取っ払って、「企業のコミュニケーションの形はどう変わればいいのか」という話に行くべきなのかもしれない。

同様な話は、いろんな登山口からいろんな経路を通って議論されていると思うが、ここではしがないコピーライターという一制作者の立場から考えてみたい。
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