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2013年にモンティ・パイソン新作映画を観る幸せ(高階記)
2013年 11月 30日 (土) 07:39 | 編集

『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語〜グレアム・チャップマン自伝〜』を観た。

              


この映画の感想を読みたいという需要がどれほどあるのかさっぱり見当がつかないが、Facebookでぼくがこの映画のことを取り上げた時に、常にごく少数ではあるが熱い反応があったので、そのごく少数の人に向けて書く。

ここではモンティ・パイソンについての解説はしない。長くなり過ぎるから。なので、「モンティ・パイソンって何?(誰?)」みたいな人は、縁がなかったと思ってとっととお帰りください。読んでも時間のムダです。

あ、それから、申し訳ないけどネタバレとか気にせず情け容赦なしで書きたいように書くので、ご注意ください。あと1週間しかないけど、今から観に行くつもりのある人は鑑賞後にまた来てください。

     *     *     *

と言っても、映画の中身についてそんなに詳しくは書かない。その周辺のことを書く。

まずこれはアニメーション作品である。全編アニメーションである。いろんなアニメーション作家(スタジオ)が集って、モンティ・パイソンを素材に、とりわけグレアム・チャップマンを素材に、いろんなタッチ、いろんなテイストの作品を集めたショートフィルム・フェスティバルになっている。それを観るだけでも堪能できる。

モンティ・パイソンのスケッチや、グレアム・チャップマンの映像も出てくるが、それらはみんなアニメーション作品の中の一部分として扱われている。もちろん、モンティ・パイソンでアニメーションと言えば誰しもテリー・ギリアムを思い浮かべることだろうが、残念ながらテリー・ギリアムの新作アニメを見ることはできない(と思う。なかったよね?)。

そしてこれは、まぎれもなくモンティ・パイソンの新作映画である。声優としてエリック・アイドルを除く5人が出演しているからだ。エリック・アイドルを除く5人? 詳しい人は驚くだろう。5人じゃなくて4人だろう? だって、グレアム・チャップマンはとっくに死んでいるじゃないか、と。

それがこの映画のすごいところで、チャップマンは死の3年前に自伝を朗読して吹き込んでいたらしい。そしてその声を使ってこの映画は撮られた。若き日のジョン・クリーズを演じる現在のジョン・クリーズの声などはずいぶん細く高くなっていて痛々しいのだが(ちょうどルパン三世の次元大介の声が、唯一のオリジナル声優の小林清志なのに細く高くなっていてオールドファンが少し胸を傷めるように)、でもまぎれもなくパイソンズの声を聞くことができる。テリ−・ジョーンズやマイケル・ペイリンのおばさん声も堪能できる。テリー・ギリアムも結構出まくっている。もっと言えばキャロル・クリーヴランドの声も聞ける。

そしてこれは、家族と、ゲイと、アルコール中毒の話でもある。ロイヤル・ファミリーに対する敬愛と不敬のまざりあったイギリス人らしい逸話も出てくるし、あえて不謹慎やバッドテイストに突っ込んで行くネタも堪能できる。要するにグレアム・チャップマンという作家の趣味が、いささか過剰に増幅された形で繰り広げられるのだ。テレビシリーズを思わせる部分はほとんどないが、でもまぎれもないモンティ・パイソンの新作。25年も前に死んだ仲間に脚本を書かせてメインキャストを務めさせて動かなくなった自分たちの身体を若いアニメーターに好き放題動かせて撮った作品なのだ。

     *     *     *

ビートルズとは違って、モンティ・パイソンは6人中5人が生き残っている。近々再結成してライブもやるそうだ。ひとり若くして亡くなった(48歳だったらしい)グレアム・チャップマンは、だから早すぎる死、若すぎる死として、悲劇として惜しまれてきたように思う。

けれども、今日、『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語〜グレアム・チャップマン自伝〜』を観て、少々考えが変わった。映画では、自伝には描かれなかった(描かれるはずもなかった)グレアム・チャップマンの死後のジョン・クリーズの「弔辞」等も描かれている。期待通りそれは「弔辞」にはほど遠く、ブラックでそして愛に満ちている。客席には残る4人のパイソンズがいて、ジョン・クリーズのスピーチに爆笑している。

これから先、彼らの一人ひとりに誰がそのような弔辞を送れるだろう。そして誰がこのような映画をつくってあげることができるだろう。残りの仲間全員の参加と協力を得て(エリック・アイドルはどうして声優をやらなかったのだろう?)この一本の映画が生まれた。

「たかり屋がいなくなってせいせいした」と言ったジョン・クリーズみたいな憎まれ口は叩けないが、あえて張り合ってみるなら(オスカー・ワイルドのスケッチのマネをして無理に張り合おうとしてみるなら)、こう言ってもいいかもしれない。

「グレアム・チャップマンはとっとと早死にして、すごくツイていたのだ」と。
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