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ことばが見つからない〜ネタバレ御免『この世界の片隅に』クエスト①(たかしな記)
2016年 12月 16日 (金) 09:18 | 編集
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『この世界の片隅に』について、すでにとても多くの人がとても多くの発信をしていて、いまさらそれをなぞったり、まとめたりするようなことを書いても仕方がない。また、すでに語られた分析や解釈や深読みはそれぞれに読み応えのあるものばかりなので、オリジナルの記事やブログを当たってもらう方がいい。ここでは、『この世界の片隅に』をきっかけにつらつら考えたことや、自分の身に起きたことを記す。
 
ちなみにこれまでSNSではネタバレをしないという方針を貫いてきたが、このブログに限ってネタバレのことは一切気にせず書きたいように書く。なので、未見で、これから見る予定のある人は絶対に読まないでいただきたい。原作を読んでいる人も、映画には映画だけの表現が使われているので、やはりここを読むのは映画を見てからにしてください。
 
長くなる予感がある。ゆっくりいこう。
 
最初は、ぼく個人の反応のことを書く。初めて見たのは10/31の試写会で、実はその前の週、東京国際映画祭での試写会にもお誘いをいただいていたのだが、その時は先約ありで涙を飲んで断った。週が明けてこの日、再び「見る気はありますか?」とお誘いを受けて勇んで会場に足を運んだ。
 
映画が終わった時、ぼくはちょっと途方に暮れていた。試写会に誘ってくれた人はぼくに「この映画を応援してほしいから」という理由で誘ってくださったのだが、正直に書くと、ぼくにはこの映画をうまく人に勧められる自信がなかったのだ。また、この映画がヒットするとも思えなかった。今から振り返ると不明を恥じるばかりだが。
 
でも、その時点でのぼくは、「誘ってくれた人には申し訳ないけれど、この映画の応援についてぼくにはできることがあまりなさそうだな」と考えていた。まず第一に、やはり終盤の展開は重く、何人かで連れ立って「一緒に観に行こう!」と(スキップしながら)観に行くようなエンタテインメント作品ではない。第二に、そのズシリとくる塊を抱え込む感覚から、何度もそれを体験したいタイプの映画ではないと感じた。この年、先行して大ヒットしていた『シン・ゴジラ』や『君の名は。』のように、リピーターが生まれるとも思えなかった(言うまでもなく、いずれもハズレだった)。

そして第三に、ぼくにはこの映画をうまく語る方法が見つからなかったのだ。映画を気に入らなかったのではない。それどころか「これはすごい。すごい体験をした。でも何がどうすごいのか説明する言葉が見つからない」と感じていた。そして、ことば屋であるぼくにとって、ことばが見つからないということはすなわち勧める方法がないということでもあったのだ。
 
だからぼくにとっては、その頃からSNSなどで目にした「泣ける」「号泣した」「最初から最後まで泣きっぱなしだった」ということばや、「これは戦争映画ではないから素晴らしい」ということばや、「たくさん笑えるコメディというところがすごい」ということばや、「主人公のすずさんがとにかくかわいい」ということばや、「のん(本名・能年玲奈)の演技がものすごい」ということばを見て、それはそうなんだけどと思いつつ、そこにはぼくの感じたすごさを言い当てたことばはないと感じていた。一体なんなんだろう? そこからぼくの『この世界の片隅に』クエスト(映画をめぐる探求の旅)が始まった。
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