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SFP_live!メモ1:高階がやっているのは朗読なのか?(高階記)
2017年 06月 07日 (水) 10:44 | 編集
最初に答えを書いてしまうと、SFP_live!でぼくがやっていることは、正統派の朗読ではない。
 
目の前にテキストを置いてそれを目にして声にしているので便宜上「朗読」と呼んでいるけれど、
ぼくがやっているのは「テキストでどこまで遊べるか」という即興パフォーマンスというのが正確だ。

もちろん、
「朗読とはこういうものであって、違うものを朗読と呼んではならない!」
というような「正解」がどこかにあるわけではないと思うが、
ごく一般的な認識の中で、正統派とされる朗読では、
あまりニュアンスを決めつけ過ぎない方がいいとされている。

つまり「ここは楽しい場面」「ここは悲しい場面」というようなニュアンスを、
朗読家が先走ってニュアンスをつけるのはあまり好ましくないとされている。
なぜなら聞き手から解釈の自由を奪ってしまうからだ。

専門ではないので推測で書くしかないが、「正統派」の考え方はきっとこういうことだと思う。

一つはテキストに忠実であること。
一つはテキストについての解釈は聞く人にゆだねるべきと考えていること。
大事なのは、原作のテキストを
可能な限り改変することなく
余計なニュアンスを盛り込むことなく
原作に指示されているニュアンスは伝えつつ
聞き手に正確に伝わるように心がけ
そのための技術をみがくということになる。

ごく簡単にまとめれば、朗読家は自己主張をせず、テキストを丁寧に聞き手に届けなさいということだろう。
そしてそれは正しい、と、ぼくも考える。

実を言うと、今年の後半は朗読について考えに考える半年となる予定で、
ぼくはぼく自身の即興パフォーマンスとは何なのか、
これから朗読をやりたという人にどんな道を示すといいうのかいろ考えていきたいと思う。

朗読全般についてはとても長くなる予感があるので少しずつ書き進めていく。
今回は、ぼくがSFP_live!でやっていることは何なのかを自分の中でも整理したいので、それを書く。

   *   *   *

SFP_live!では今後

①作者が自分の作品(140字のSudden Fiction Project作品)を声に出して読む。
②その場でお題をもらって15分で何本140字の作品(#140SFP 作品)を書けるか即興創作する。
③#140SFP作品にエッセイを加えるとどうなるかロングバージョンを読む。

ということをやるスタイルを考えている。

将来的には他人の作品を読んだりすることもあるかもしれないが、このライブを始めた動機は、まず何よりも「140字のSudden Fiction Projectと、その作品群を多くの人に知って利用してほしい」ということと、「あわよくば書き手が増えて#140SFP 作品が増えて広まってほしい」ということに尽きる。

そのためにCDもつくり、オンラインでも配信し、そして自らが人前に出ることを決意し、サポートしてくれる仲間達に支えられながらお客さんを呼んでライブ形式で作品を披露して、少しでも面白がってもらおうとしているのだ。

自分で書いた作品なので、多くの作品は2011年の3月当時、あるいは2016年4月の熊本地震後の日々、どんな人に向けてどんな思いを込めて(場合によっては、ふだんはまりやらないような配慮や表現への制限を設けて)書いたか知っている。

だからライブでは、多くの作品について作品解説を加えながら読む。そしてたった140字以内なので描写しきれていないニュアンスを必要に応じて足す。それも、子どもたちに面白がって聞いてもらうため、ということを念頭に、できるだけ面白く、聞いていて楽しく、ワクワクするように読む。
 
余計なニュアンスをつけないどころか、多くの作品ではさまざまにニュアンスをつける。第2回目(通称「+3 set」)のライブでは歌まで歌った。なぜならその作品を書いたときにそのメロディーが浮かんでいたからだ。
 
というわけでぼくのライブはおよそ朗読らしくない。けれども肝心なのは「正しい朗読」をすることが目的ではないということだ。朗読は手段であって目的ではない。例えばぼくの場合は「140字のSudden Fiction Project」というものを知ってほしい、面白がって興味を持ってほしい、できれば目で見て読んでほしいし、本当は大人たちが子どもに読んで聞かせてほしい。それが避難所で読まれるのなら当初念頭にあった通りだけれど、忙しくて親子の時間がなかなか取れない家庭で読んでもらえるのもいい。そんな風に「実用的」に読んでもらえることこそが理想的な状態だ。

なら、面白く、楽しく、好奇心をそそる形で提供したい。その役に立つのなら、ニュアンスを足すことも、なくすことも、最適な方策を探る。

そういう風に考えている。

そして、それは今後、ぼくがたくさんの人々に向けて「こんな風に朗読をしようよ」と呼びかけるときにも基本スタンスとしては同じでよいと思う。

まず読むに値するテキストがあって(それは音楽的に素敵だからかもしれないし、テーマが優れているからかもしれないし、読む人をワクワクさせるものがたりだからかもしれない)、読む人がいて、聞く人がいて、読む人はテキストの届けたい大事な部分を聞く人の中に届け、聞く人の心を動かし、ときには体を動かす。その目的のために使えることは何でもやる。必要があれば歌も歌うし、必要があれば声色も使う。届けるのに余計なことなら、しない。

そういう基本スタンスは、「正統派」かどうかは関係ない。自分にできる最良の手法を見つけてそれで届ける。そのことを大事に、そのことだけを守りながら取り組んでいきたい。

そんな風に考える。次回からはSFPから離れた朗読全般の話に進むが、それは自分のライブにもつながることと信じ、あれこれ追求していきたい。朗読もテツガクしよう!
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