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【妖奇譚への誘惑】『地獄変』with鶴澤津賀寿(2/4,5@赤鳥庵)(高階)
2011年 01月 10日 (月) 10:38 | 編集
               地獄変軽2

ネット上で見つけた『宇治拾遺物語』中の「絵仏師良秀」と、その口語訳を元に「改訂版なんちゃって現代語訳」をつくりました。もちろんみなさんご存じ、あの芥川龍之介の『地獄変』の原典です。お楽しみあれ。

     *     *     *

これもちょいと昔のお話ではあるが、絵仏師良秀という者がいた。

あるとき隣家から火事が燃え広がって、風がおおいかぶさらんばかりに吹いて火が迫ってきたので、逃げ出して大通りへ出てきた。家の中には人が良秀に注文して書かせている仏の絵もいらっしゃった。っていうか、服を着替えられずにいる妻子なども、そのまま家の中にいた。

そんなことにはまるで関心も払わず、良秀は自分がまんまと逃げだせたのをよいことに、道の向かい側に立って見物していた。そのうち、とうとう火が我が家にまで燃え移って、煙や炎がくすぶりだすに及んでも、良秀はもっぱら道の向かい側に立って眺めていた。その様子を見て 「大変なことになりましたな!」などと言って人々がやってきては見舞ったが、良秀はというと騒ぎもしないでいる。

「なんだってそんなに落ち着いてるんです?」とまわりの人が言っても、良秀はただ道の向かい側に立って、家が焼ける様子を見ては、ふんふんと頷いたり、時には笑ったりまでしている。その挙げ句に「ああ、大変なもうけものをしたわい。これまで長いこと、まずく書いてきたもんよ」などと言うものだから、見舞いに来た者たちは、「こりゃどうしたこった。こんな風につっ立ってるなんて。あきれたことだ。物の怪でもつきなさったか。」と言った。

「物の怪なんか憑くもんか。長年の間、おれは不動明王の炎をヘタクソに書いてきてしまった。今実際にこうやって見てみると、『こんな風に燃えてたんだ!』と悟ったのよ。これこそ、もうけものってやつだ。この道を極めて身を立てようってからには、仏様さえ本当にうまく書き申し上げられたら、家なんざ百でも千でもきっと建つだろうて。おまえさんたちこそ、これといった才能もお持ち合わせにならないので、『家が燃えてもったいない』なんてたわごとを言っておしまいになるんだろうよ」と言って、あざ笑って立っていた。

その後の作品であろうか、「良秀のよじり不動」と呼ばれる絵は、今に至るまで人々が称賛し合っているのだ。 

     *     *     *

どうです。面白いでしょう?

芥川はこの短い話から、良秀という怪人絵師の人物を造形し、まさに取り憑かれたような絵師としての奇人ぶり、奇行を肉付けし、良秀なりの奇怪ではあるが深い愛情の形を掘り下げ、対峙する怪人として堀川の大殿様を創造し、良秀と大殿の狂気じみた対決を設定し、さらにはあの途方もない生き地獄めいたスペクタクルにいたる一連の物語を立ち上げたわけです。

つくづくすごいことだと思います。

「ちょっといい話」の公演『地獄変』では、その全てを余すところなく贅沢に体験していただきます。『地獄変』で語りの阿部とあるいは寄り添いあるいは対決する共演者は女流義太夫会の至宝・鶴澤津賀寿師匠の太棹三味線。初演以来3回目の共演です。さらに会場は目白の住宅街に突如出現する日本庭園の池のほとりの茶室、目白庭園「赤鳥庵」。幻想的にライトアップされた夜の庭園を借景に、恐ろしくも絢爛たる王朝時代の綺譚をお聞かせします。

鬼気迫る壮絶な物語世界に、深く静かに潜り込む1時間半、お楽しみください。

全席ご予約のみ。当日券はないシステムです。
a.ka@jcom.home.ne.jp(阿部宛て)に
(1) お名前(フルネーム)
(2) 人数
(3) ご希望の日にち
を書き添えてお送りください。
早期完売が予想されますのでご予約はどうぞお早めに!

               地獄変軽1
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