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★「おはなしの時間」が足りない方へ(高階)
2011年 03月 20日 (日) 11:57 | 編集
2011年3月11日に始まる1週間の中でいろいろな発見があった。予想通りのこともあれば、まったく考え方を変えなければならないようなこともあった。いくつもの打ち合わせが流れたこともあり、気がついたらほぼ1週間家にいて長時間をTwitterのタイムラインを追いかけたり、ネットで見られるNHKやTBSの番組を見ていたりした。

何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか気になって、家でも金、土、日の朝と、起きている時間はテレビをつけっぱなしになっていた。でも日曜日の午前中に、テレビをできるだけつけないようにすることにした。節電の意味もあったのだが、もう一つの大事な理由として、「この映像を見続けるのはよくない」ということだった。

そうでなくても、余震やら、別な地震やらが頻発する。行方不明が1万人とか、数百人の死体が打ち上がったなどという非現実的なことばが当たり前のように語られ、停電になるかもしれないと言われ、店に行けば棚はからっぽで何やら不穏な気分が漂い、原発がどうしたという話が小刻みに出て来る。

二人の娘も、大人である妻も、そしてぼく自身も、把握しようのない恐怖を味わわされていた。把握しようがないから対処の方法を考えたくても考えようもない恐怖を、強制的に味わわされていた。その時に9.11のことを思い出してぼくは舌打ちをしたい気分になった。あの時も見たこともない非現実的な映像や、それを境に世界が一変して行くその後の様子に気を取られテレビをつけっぱなしにしていた。そして数日して、まだ小さかった子供たちのためにそれがどんなに良くない時間だったかに気づいて後悔した。生まれてまだ6年とか4年とかの子どもに見せるにはあまりにひどい映像だった。いまから出て行く世界は、誰かが誰かを憎んで航空機を高いビルに突っ込ませる世界だなんて植え付けられて、何のいいことがあるだろう。苦い経験だった。

なのに、またしても同じようなことをしようとしている。そう気づいて、テレビは最小限に留めるようにした。もちろん事態は目を離せる状態ではなかったので全く見ないわけにはいかないのだが。そう気づくと同時に、それはうちに限らず日本にいて、同じような時間をすごす全ての子どもたちに言えることだと気づいた。彼らがテレビを見ないですむようにできることはないだろうか。できれば身近な大人とじっくり向き合う時間があるといい。でも大人の都合だってある。なかなかそういうわけにいかない。どうすればいい?

     *     *     *

Twitterのタイムラインを睨みながら不意に浮かんだのが「140字のSudden Ficiton Project」だった。どんなに忙しい大人だって、そばにいるこどもに140字の短いおはなしを読んで聞かせるくらいのことはできるだろう。できれば気持が別な方向に向かう話だといい。ちょっとおかしな話だといい。あるいは読んで聞かせながら一緒に遊べる話だともっといい。それはこのおっかない情報が流れるタイムラインをにらんで、殺伐とした気分の大人にとってもいいことかもしれない。

そしてもちろん、食べものもなく暖房もなく遊び道具もなく、家を失ってわけのわからない世界に放り込まれた被災地のこどもたちや、その保護者の方々にとっても、ふっと息を抜く時間が必要ならば、そんな時に何かの足しになるかもしれない。

3/14、ハッシュタグ「#140SFP」をつけ、140字のSudden Ficiton Projectはスタートした。すぐに賛同して書き始めてくれた@atohchie さん、続いて@tarilyn85 さん、@chisa0lisa0maya さん、@novelovesnovel さん、@Mon_a_miさんらが続々と参加して書き始めてくれた。3/20現在、軽く70作品くらいアップされている。よかったらご鑑賞ください(古いツイートは検索できないみたいなので、現在取りまとめ中です)

●140字のSudden Ficiton(1)

●140字のSudden Ficiton(2)
 
●140字のSudden Ficiton(3)
 

書き進める中、震災をあつかった作品も登場し、これは別なカテゴリーで扱うべきだろうということでハッシュタグ「#SFP311」にまとめることにした。これはこれで読み応えがある。#140SFP、SFP311ともに、読者や書き手が増えることは大歓迎です。趣旨に共感した人は気軽にご参加ください。

●「#SFP311」作品

     *     *     *

ぼくにとってライフワーク的なシリーズ公演「阿部一徳の ちょっといい話 してあげる」もまた、そんな「おはなしの時間」の一つの形だ。大人だって、物語の中にどっぷりつかる時間はあっていい。切羽詰まって凝り固まった頭を、やさしくほぐし、胸の奥の方につかえているものをさらさらと洗い流す時間は必要だ。

そう考えて、『サーカスの犬』(「阿部一徳の ちょっといい話 してあげる」シリーズvol.29)は予定通り3/26,27に上演する。3/26は東京公演(茅場町MAREBITO)、3/27は静岡公演(清水区スノドカフェ)。停電の影響等もあって、ライブや演劇が中止になる中、このシリーズは大がかりな電力も装置もいらないからこそ普段通りにお届けできる。「おはなしの時間」が足りないな、と思う方はぜひ足をお運びください(ご予約は上記リンク先から、どうぞ)。
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