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語り、考 [6/4,STYLE公演を前に](高階記)
2011年 06月 04日 (土) 09:38 | 編集
本日2011年6月4日、ひさびさに舞台に立つ。後述する「STYLE」という企画公演に参加して出演するのだ。舞台に演者として立つのはおそらく20世紀以来だと思うので、まあ大変なことをやろうとしているのは重々承知している。それはそれとして、セリフを入れ、稽古を重ね、あれこれ考えをめぐらせるうちに思いついたことがある。それを書く。

     *     *     *

阿部との(「阿部一徳の ちょっといい話 してあげる」との)付き合いも長いし、これまでも語りについては、いろいろ考えるチャンスはあったはずなのに、こうやって身をもってセリフを入れながら、どう上演するかを考える機会を持って初めて気がつくこともある。

昨夜、ふと思いついたことをTwitterでつらつら書いたのだが、そのことを簡単にまとめておこう。

今回ぼくがやろうとしているものもやはり語りだ(語りでなくやる方法ももちろんある。でもぼくは「語り」としてやりたい)。

いわゆる“演劇”の役者さんは、脚本に書かれた登場人物の役を肉体化し観客の前に立ち上げていく、つまり登場人物その人としてその場に立つのに対して、語りの場合は違う。語り手は観客の前にいるのだが、理想的には語り手そのものはどんどん消滅していき、聞き手の中に物語が立ち上がっていく。

その一点でぼくは「役を演じる役者さん」たちや「目の前にあるテキストを読む朗読者さん」たちと一線を画するわけだ。語り手は舞台装置やテキストを介することなく聞き手と直接向き合い、自分の中にある物語を、目の前にいる聞き手に直接伝え、聞き手の中に物語世界を立ち上げて行く。

ちょっと言い訳を挟むと、この話は自分のことは棚に上げて書いている。ぼく自身は十分な訓練を積んだ語り手ではないからだ。ぼくなど「話し好きのおじさん」に過ぎない。せめてもの救いは、「話し好きのおじさん」は語り手の原点になる基本的な資質の一つだと言うことだ。

さて、一般に演出家は演技者に対して演出をつける。たとえば自分一人で一人芝居をやる人も、それが「演技(ここでは“役を演じるお芝居”の意味)」である場合には、演技者である自分自身に対して演出をつけることになる。

ところが語り手の場合はおそらく違う。技術としての喉や身体を鍛錬する必要があるのは言うまでもないが、演出という点では自分自身に対して演出をするのでは、恐らくない。優れた語り手というのは、聞き手の中に世界を立ち上げることに関する優れた演出家だといっていいのではなかろうか。

つまり、聞き手ひとりひとりがその人の中に物語世界を立ち上げるための材料を用意し、最適なタイミングで提供し、その世界の創造(想像)を促すのだ。決して邪魔することなく、とはいえ物語世界を豊かにするためのさまざまな仕掛けを用意しながら。

     *     *     *

「語り手が消滅する」と書いたが、このことばはひょっとすると誤解を招くかもしれない。これは「語り手など不要だ」と言うことでは断じてない。むしろ語り手に非常な技量を要求する話である。聞き手に提供する材料(それは物語であり、音色・音量・音程であり、タイミングであり)を、聞き手の身体の状態を感じ取りながら瞬時にベストなものを選択し、提供する希有な能力が要求される。

とまあ、長々と書いたが、こんなことは多くの人にはどうでもいいことだろう。

ただ「語り手は自分自身に対してではなく、聞き手に対する演出家であるべきだ」という発見は個人的に非常に大きい(いま振り返れば阿部からさんざん同様なことを聞かされていたはずだが、それを再発見できた)。

肝心なのは「舞台上に閉じた演技の工夫」ではなく、「聞き手と一体になったライブな場を共に創ること」だ。本当を言うと、これは「役を演じる演技」についても同様に展開できる考え方だと思うが、「語り手」はどうあるべきか、ということについて思いついたことを書きつけてみた。

まあ、それもこれも、自分のことはまるきり棚に上げての話なんですけどね。

     *     *     *

本日、ご予約なしでお越しになる方は立ち見となります。たくさんのご予約ありがとうございます!!!


=====公演情報=====
“STYLE”とは…
演出家:司田由幸と映画監督:完山京洪が立ち上げた
表現者を発掘・育成することを目的とした
俳優×演出家×脚本家×音楽家の交流イベントです
3,4ヶ月に1度、多数のクリエイターが集い作品を発表します

日時
2011.06.04(Sat)
open 15:00~
start 15:30~
out ~17:30

会場
中目黒CAMARADA
http://www.camarada.jp/
(中目黒の駅の改札を出て左方向に徒歩7分。
 そろそろ不安になり始めた頃に左手2階に見つかります。
 1階は「天竺屋台 東山」、その先は「餃子の福包」が目印)

参加費
1名様:1,000円
(会場費に500円、残りの500円を東北地方へ寄付させて頂きます)
その他の飲食はキャッシュオン制となっています
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